この記事では、2024年7月放送のドラマ「笑うマトリョーシカ」の早見和真原作小説のあらすじとネタバレ感想、最後に笑う黒幕は誰か、原作の結末を考察します。
原作小説のプロローグからエピローグまで全ての部(章)の詳細解説、キャラクター分析をしています。水川あさみ主演のドラマ版のあらすじと違いを楽しみたい方におすすめです。
キャラクター分析と原作の終わり方から、黒幕の解説と作品が伝えたいメッセージを考えます。ドラマのネタバレ感想はこちらのページで全話紹介しています。
≫【ドラマ全話ネタバレ】笑うマトリョーシカの最終回は?原作とドラマの違いを徹底比較
原作「笑うマトリョーシカ」の最後は?黒幕は清家一郎
物語の最後に明かされる驚きの事実は、実は清家一郎自身が黒幕であったということです。
彼の戦略的思考が、すべての出来事の裏に潜んでいました。清家は、権力の頂点に立つために、操られていたと見せかけて、自らの手で多くの策略を巡らせました。
清家の策略とその意図
清家は、友人や家族、さらには自身の信念をも操り、自分の目的を達成するために動いていました。彼の行動は一見正当化されることが多いですが、その背後には冷酷な計算と自己中心的な動機が隠されています。
最後に笑った黒幕=清家一郎と考える理由
自らをも操った清家一郎とはどのような人物なのか?
真実が明かされたとき、読者は清家の複雑な人格とその行動の真意を再評価することになります。早見和真は、主人公自身を黒幕とすることで、権力の危うさと人間の本性を鋭く描き出しています。
物語を通じて、私たちは表面に見えるものだけでなく、その裏に隠された真実にも目を向ける重要性を訴えているのではないかと考えました。
原作:笑うマトリョーシカのあらすじ
「笑うマトリョーシカ」の舞台は、四国・松山にある名門高校。物語は、二人の青年の友情と裏切り、そして政治の世界への野心を描いています。
主人公の清家一郎と鈴木俊哉は、高校時代からの親友であり、共に政治の世界を目指します。清家一郎が主人公で政治家、鈴木俊哉は政治家秘書です。
清家一郎(せいけいちろう)は、愛媛県の愛南町で育ち、名門高校に進学。カリスマ性を持ち、27歳で代議士となり、若くして官房長官にまで上り詰めます。一方、鈴木俊哉(すずき としや)は清家のブレインとして彼を支え続け、陰の立役者となります。
プロローグ
物語の始まりは、清家一郎が官房長官に任命された日から始まります。新聞の一面トップに官房長官誕生のニュースが掲載され、政治の世界での彼の存在感が一気に高まります。
その日、東都新聞の文化部記者である道上香苗が清家のインタビューを行います。今回の内閣改造に合わせて刊行された清家の著作『悲願』について話を聞くのが主な目的でした。
道上は清家に鋭い質問を投げかけ、彼の卒業論文について尋ねます。この質問に清家は動揺し、記者の鋭い視線に圧倒される場面が描かれます。このやり取りから、道上は清家の過去に隠された秘密に迫る意志を強めていきます。
第一部:清家一郎と鈴木俊哉の出会い、学生時代
清家一郎は愛媛県の愛南町で育ちます。清家は将来の夢を抱きながら、母親と共にこの地で成長します。彼の家族背景は複雑で、母親は銀座でホステスをしていた過去があります。
清家は松山市にある私立福音学園に進学し、そこで鈴木俊哉と出会います。鈴木は不動産会社を経営していた父親が逮捕されたため、松山に移り住んでいます。二人は意気投合し、将来の政治家としての夢を共有するようになります。
実は清家一郎の父は政治家の和田島芳孝(わだじまよしたか)、胸に秘めたこの秘密を鈴木俊哉に共有したことで三人の結束が固まります。
告白の場には、後の後援会会長となる佐々木光一(ささき こういち)もいました。
清家は福音学園の生徒会長選挙に立候補し、鈴木のサポートを受けながら見事に勝利を収めます。これが二人の政治的キャリアの第一歩となります。清家のカリスマ性と鈴木の知略が見事に融合し、二人の絆はさらに深まります。
第二部:恋人との出会い、政治家としての初当選
清家は早稲田大学に進学し、鈴木は東京大学へと進みます。この間、二人は一時的に疎遠になりますが、清家に恋人の三好美和子ができたことで距離が生じました。美和子は脚本家志望で、彼女の影響で清家は政治家として成功することを急ぎます。
27歳までに自分が生きていた証を残したいと言った美和子の言葉が、清家を動かすことになります。
再び手を組んだ二人は、清家が27歳で衆議院議員に初当選するまでの道のりを共に歩みます。清家のカリスマ性と鈴木の戦略的な支援が、彼らの成功を支えます。
清家の母親、浩子は美和子の影響を警戒し、鈴木に相談します。この頃、鈴木と浩子の関係も密接になり、鈴木は清家の卒業論文の題材である「エリック・ヤン・ハヌッセン」について知ります。これにより、清家が自分を批判的な目で見ていることを理解します。
「エリック・ヤン・ハヌッセン」は、ヒトラーの演説指南役でナチスの占星術師。最後はヒトラーの命令で暗殺されたという説があります。
第三部:本当の清家の姿が明らかに?芽生える鈴木の疑念
清家のインタビューを終えた道上香苗は、上司の山中が立ち上げた小さな出版社に移り、清家一郎の本当の姿を暴くことを決意します。彼女は取材活動に奔走し、清家の過去に迫ります。
取材の過程で、現在鈴木俊哉の妻である由紀が加わり、彼女も清家の過去を掘り下げることに協力します。清家が官房長官に任命された時の背景を調査し、彼の本当の姿を明らかにしようとします。
ところが、清家が官房長官に任命された際、鈴木は過去の父親の事件絡みで秘書の役目を下ろされます。その時、鈴木はもし自分よりも早く清家の特性に気付いていた人物がいたなら、その人物に自分も利用されていたのではないかという疑念を抱きます。
清家の元カノ美和子は偽名。本当の彼女の名前は?現在どこにいるのか??
第四部:浩子は日本人へ復讐したかった!?清家を操っていたのは誰?
物語の終盤、清家の母浩子が彼の過去と家庭背景について独白します。浩子の母親は中国人で、日本兵に乱暴された結果生まれたのが浩子でした。浩子の母は日本人へ復讐したいという想いを、娘の浩子に繰り返し伝えていました。
ハッキリとは出てこなかったけど、慰安婦ってことなのかな?浩子は清家を政治家にするために、どれほどの犠牲を払ったかを語ります。
エピローグ:全ての黒幕は清家一郎本人!?
物語のクライマックスで、清家自身が過去の出来事について独白します。前回のインタビューから3年後、再び道上香苗が清家にインタビューを行います。このインタビューでは、清家の現在の状況と未来の展望について語られます。
物語は、現首相の健康問題で政界が騒然としている中、次期与党総裁として清家の名前が取り沙汰されている様子を描き、終わりを迎えます。清家の未来がどのように展開するのか、読者に想像の余地を残しながら物語は幕を閉じます。
笑うマトリョーシカの考察:キャラクター分析
ここからは、原作「笑うマトリョーシカ」のキャラクターについて考察します。カッコは本作ドラマ版のキャスト名になります。
ドラマ版は原作とはまた違ったキャラクターになるのかも?ここでは、原作小説のキャラクター像を分析します。
清家一郎(櫻井翔)は、カリスマ性と強い意志を持つキャラクターとして描かれています。彼の成長過程では、政治家としての野心と母親の期待に応えるための努力が強調されます。
鈴木俊哉(玉山鉄二)は、清家の親友であり、ブレインとして彼を支え続けます。鈴木は、自らの父親の過去の事件を乗り越え、清家の成功に貢献します。しかし、物語が進むにつれて、清家と鈴木の関係には緊張が生じ、友情と裏切りのテーマが浮き彫りになります。
道上香苗(水川あさみ)は、物語の中で清家の過去と本質を暴こうとするジャーナリストです。彼女の視点を通じて、清家の表向きの姿と内面の葛藤が描かれます。道上の鋭い観察力と粘り強い取材活動は、物語に緊張感を与え、読者を引き込む要素となっています。
【原作小説】笑うマトリョーシカのラストを解説!
あらすじと結末が分かったところで、物語の終わり方から作品のテーマとメッセージを考えたいと思います。
友情と裏切り
物語の中心には、清家一郎と鈴木俊哉の友情とその破綻が描かれています。二人の関係は、信頼と疑念、協力と競争という複雑な要素を含んでいます。彼らの友情は、政治という厳しい世界で試され、最終的には互いに対する裏切りによって崩壊します。
学生時代でさえも、母親に「将来自分のために働いてくれる友達を作れ」と言われ動いていた清家。本当に友達と呼べる関係の時期はあったのでしょうか。
政治と権力の裏側
「笑うマトリョーシカ」は、政治の世界の裏側を鋭く描き出しています。清家一郎の出世の過程を通じて、権力の獲得と維持に伴う策略や犠牲が明らかにされます。彼のカリスマ性と戦略的な行動は、政治の残酷な現実を象徴しています。
現代社会の複雑な人間関係や権力構造を鋭く描き出しています。ブレインがいれば、誰でも政治家としてやっていけるのか…。僕たちが見るカリスマ性はホンモノか、ニセモノか?
物語は、清家が自身の内面と向き合い、成長する過程も描いています。彼は周囲の期待に応えるために努力しますが、最終的には自分自身の弱さと向き合い、真の強さを見つけます。この自己認識の旅は、読者に自己成長の重要性を再認識させます。
結局全てを操っていたのは清家自身。もしかしたら、自分自身でさえも操っているのかもしれません。これは、清家の強さと言える…のかもしれません。
「笑うマトリョーシカ」は、政治の世界の裏側をリアルに描きつつ、友情や裏切りといった普遍的なテーマを扱っています。
母親と恋人から洗脳されていた、鈴木ですら自分を下に見ている(利用している)と気づいた清家は、虎視眈々と彼らが最もダメージを受ける時期をうかがい、それを実行していったのだと考えます。それは、政治家には必要な素質なのかもしれない…と思える読後でした。
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