NY在住の少年・オンは、誕生日前のある日両親から「天狗の末裔」であることを打ち明けられます。さらに「14歳の一年間は人目を避け、決められた集落で隠遁生活を送る」という掟が存在し、まだ会ったことのない兄・基（いづな）と一緒に日本で暮らすよう言い渡されます。

ＮＹ生まれＮＹ育ちの効率重視の現代っ子・オンと、14歳から隠遁生活を続けている、浮世離れした兄・基とは、なにもかもが正反対。しかも、オンは基とは初対面で兄のことを陰で「あの人」呼びするほど二人の間には距離があり、時には衝突してしまうことも。

都会っ子のオンにとっては不慣れな土地での不便な日常生活、家事手伝いや農作業は苦痛でしかありません。しかし、基や基の幼なじみで同じく天狗の末裔・有意の手ほどきを受け、自然豊かで素朴な暮らしに徐々に溶け込んでいきます。

≪参考≫ドラマ公式サイト：BS-TBS「天狗の台所」

田舎での隠遁生活も慣れたオン。基のことも「お兄ちゃん」と呼べたり、素直に「ありがとう」が言えたりと、隠遁生活で成長が見られるようになったある日、基はオンの身体の異変に気付きます。

オンの背中にうっすらと羽根の文様が見え動揺してしまう基と有意。基は14歳の隠遁生活中に天狗の末裔界隈でも珍しく背中に羽根が生えたのです。それは、通常一年で終える隠遁生活を未だに続けている理由のひとつでもあると言えるでしょう。

基とオンの両親は、連絡を受けてNYから急遽来日し、束の間の家族水入らずのひと時を満喫します。そんな中、オンが高熱を出してしまいます。発熱した翌日に羽根が生えた基の経験から、オン自身は勿論、基や両親も何とも言えない心持で朝を迎えます。

翌朝、オンは自分の背中にあった文様も羽根もないことを確認します。オンは、基との隠遁生活をしていくなかで、日本に留まってもいいという思いも密かに募らせていたことを明かしますが、両親は隠遁生活が終了すればNYにオンを帰す意向です。オンは、最終的にNYに戻るか否かの決断は保留とし、両親はNYへ帰国します。

オンの隠遁生活が終わりに近づき、「隠遁納めの儀式」のための舞の稽古や料理の準備に取り掛かるオンと基。この儀式は、村人のため一年間のお礼として舞を踊る、というもの。儀式では有意も加わり、三人で舞のお披露目を無事やり遂げて儀式は成功裏に終わります。

オンの誕生日で隠遁生活最後の日に、オンは自ら育ててきた菜園の野菜を使って料理を基にふるまいます。食後に基の手作り誕生日ケーキ食べ、穏やかで和やかな雰囲気の中、オンは基のように「豊かに実る場所を探す」と決意を表明します。

オンの帰国後、基は変わらず一人で農作業をして村で暮らしています。成長したのはオンだけではなく、基にも変化はあったようで、以前は使わなかった携帯も使うようになりオンとはSNSで連絡を取り合うようになるのでした。

≪参考≫ドラマ公式サイト：BS-TBS「天狗の台所」