この記事では、2024年10月期ドラマ「Qros(キュロス)の女-スクープをいう名の狂気-」の原作小説について、結末はどうなるのか、謎の美女“キュロスの女”の正体は誰か、またキュロスの女を追い詰める犯人は誰か、ラストの結末を紹介します。
誉田哲也(ほんだ てつや)原作小説のあらすじを1章から終章まで章ごとに詳しく解説し、物語を考察していきます。ネタバレを含むため、物語の最終回を知りたくない方はご注意ください。
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≫原作「Qros(キュロス)の女」のあらすじは?ネタバレなしで小説の見どころを紹介
ドラマは原作小説とは違うのかな?原作小説のあらすじを知っていれば、ドラマとの違いが楽しめそう♪
「Qrosの女」の初出は小説現代、2013年2月号~9月号での連載でした。今から10年以上も前の作品ですが、現代の情報社会を既に反映した小説になっており、新鮮な驚きや気づきを与えてくれます。
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【原作ネタバレ】Qros(キュロス)の女の結末は?
ズバリ言うと、世間を騒がせる謎の美女“Qros(キュロス)の女”の正体は、小説の序盤である第二章であっさり判明します。名前は市瀬真澄(いちのせ ますみ)・24歳、芸能事務所スマッシング・カンパニーの総務に所属する社員です。
Qros(キュロス)とは、”日本のファストファッションを代表する一大ブランド”と小説には書かれていることから、実際にあるブランドをイメージするならUNIQLO(ユニクロ)が相応しいかと思います。
なぜ、単なる内勤の社員が”キュロスの女”と騒がれるようになったかというと、新CM撮影当日にマネージャー代わりに自社タレントの付き添いで撮影現場に来たところをキュロスのチーフ・エグゼクティブ・デザイナー桑嶋隆平に目を付けられ急遽CMに出演したためです。
単なるマネージャーが自身を差し置いてCMのラストを飾るという出来事に、本来の出演者で真澄がサブマネージャーとして付き添った女優・福永瑛莉(ふくなが えり)が大激怒。事務所として、“CMのラストに登場する女性について、情報は一切表に出さない”ということを徹底させることにします。
分かる!内緒って言われれば言われるほど、大したことがないことでも知りたいと思っちゃうもんね。新人タレントのデビュープロモーションとしては使えそうだけど…。
しかし、秘密にすればするほど、人はそれを探りたくなる生き物です。世間では“キュロスの女の正体は誰か”を巡り目撃談が相次ぎます。中には真澄のプライベートに迫った本物の情報もあり、真澄を怯えさせますが、何とその暴露元・犯人はCMで共演した人気俳優・藤井涼介(ふじい りょうすけ)でした。
カ¨━━━━( ゚Д゚; )━━━━ン。CM撮影では超親切だっただけに、まさか涼介が犯人だったとは!?超ショックなんだけど…っ!!?
涼介は自分がメインのCMに真澄が突如出演したことで、主役の座を奪われたと感じ真澄のプライベートを探り世間に流出さたという結末でした。
物語は、マスコミの力を使い涼介の行ったことを世間にスクープするのではなく、何と記者の栗山が“キュロスの女探しをしている取材中に出会った別の人物を、キュロスの女としてデビュー”させることで終わりを迎えました。
これで真澄は元の生活に戻れて、キュロスの女としてデビューできた新人さんもいて、涼介も人気俳優としてこのままメディアで活躍…。全方よし(すべてが上手くいく)の結果だね◎
「Qrosの女」の初出は小説現代、2013年2月号~9月号での連載でした。今から10年以上も前の作品ですが、現代の情報社会を既に反映した小説になっており、新鮮な驚きや気づきを与えてくれます。
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誉田哲也原作小説「Qrosの女」のあらすじは?全章を徹底解説
「Qrosの女」の結末が分かったところで、ここからは物語をより詳しく見ていきましょう。1章から終章までの全章を、章ごとのあらすじを詳しく解説します。
第一章
- 一人称の視点(主人公):矢口慶太(やぐち けいた)
- 章の要約:小説「Qrosの女」全体像の説明。藤井涼介の自宅を張り込み中に偶然、世間を騒がせている“キュロスの女”を見かけ撮影に成功する。
第一章は「週刊キンダイ」の契約記者である、矢口慶太の視点から物語が進行します。矢口は政治班から芸能班へ鞍替えになった芸能記者で、週刊誌に携わるようになって六年目・29歳の人物です。
政界については分かるようになったものの、芸能界に関しては全く分からず、毎週ある企画会議で提出するネタに常に困っています。毎週水曜日の企画会議でネタを五本出すことが取材班員にとっての最低限のノルマ。ネタに困った矢口は、企画会議当日に園田芳美(そのだ よしみ)に連絡を取りネタをいくつか分けてもらいます。
園田はブラックジャーナリスト。矢口はホラ吹きオヤジで十回に一回は真実を語り、百回に一回は大スクープを提供する伝説の記者と言ってるけど…
実際には情報を右から左へ流して利ザヤをかすめたり、偽の情報を故意に流している人物です。ホラ吹きではなく、本人は嘘を掴ませているのを分かってるんだよね。
その中の、藤井涼介が引っ越した件に食いついた矢口。自宅住所は分かりませんが、涼介が車を停めている駐車場について企画会議で出したところ、取材をしてもいいとのGOサインが編集部から出ます。しかも、矢口のネタにも関わらず、先輩記者の栗山がサポートしてくれると言います。
園田に教えてもらった涼介の駐車場付近を調べていたところ、偶然にも涼介のマンションを発見。社用車を借りて張り込みを始めたところに、サポートの栗山が手伝いに来てくれます。そして、二人での張り込み中に、矢口がコンビニに食料の買い出しに出たところ「早く戻ってこいッ」と栗山からの電話がかかってきます。
矢口が慌てて戻ると、栗山は何と!今、世間の注目の的である“キュロスの女”が出没したと言います。慌ててキュロスの女の乗ったタクシーを車で追いかける矢口と栗山。タクシーは東京駅丸の内のロータリーに入っていったため、栗山が降り女を追いかけます。
車で待っていた矢口は、栗山から「女は見失ったが、電子掲示板を確認していたから、たぶん新幹線。あのタイミングだと、東北新幹線だったのかな」という言葉をきき、それを信じます。栗山のデジタルカメラには、撮影したキュロスの女が写っており「お前の名前で、記事にしていいぞ」と言われます。
涼介を狙っていたのに、棚ぼた的により話題のあるネタが向こうから舞い込んできた!?慶太はちょっと人を疑った方が良いね。騙されやすそうで心配だよ…。
第二章
- 一人称の視点(主人公):栗山孝治(くりやま こうじ)
- 章の要約:矢口と張り込み中に撮影した“キュロスの女”のスクープ写真が栗山が仕組んだものだったという説明。栗山側の“キュロスの女”取材活動の経緯と、キュロスの女の正体も判明。
第一章でスクープをものにしたように見える矢口ですが、実はそれは栗山が仕組んだものでした。第二章は栗山側の“キュロスの女”に関する取材活動の経緯と、第一章の出来事の説明になっています。
栗山は32歳、生粋の芸能記者です。天神出版(スクープの真相)、文秋社(週刊文秋)、陽明社(週刊キンダイ)と携わってきた仕事は全て芸能記事で、長く芸能記者をしていたためスキルがあります。
そんな栗山ももちろん、キュロスの女の正体を独自に探っていました。「キュロスの女が六本木でキャバ嬢をしている」という情報を入手し現場に向かう、ニューハーフのショーパブ(エンジェルダスト)に似ている子(ミク)がいると聞き向かうなど、独自に動きます。
第一章で矢口がスクープ写真と思っているキュロスの女も、このミクちゃんだよー。
その取材中、栗山は「自分はキュロスの女によく似た女性と過去に会っている」と気づきます。頭の隅に引っ掛かっていた疑問に対し“スマッシング・カンパニー(以下、スマカン)でコーヒーを入れてくれた女性がそうではないか”と閃いた栗山は、スマカンの岩崎(福永瑛莉のマネージャー)に電話をかけ探りを入れます。
岩崎の反応から、自分の感が当たっていたと確信した栗山は、スマカンを張り込み“キュロスの女の条件に当てはまる身長とスタイルの女性”を発見し、後を追い自宅マンションを特定します。マンションを張り込み、女性が外出したときに尾行した栗山が見たものは…。
歌舞伎町一番街の入り口脇のコーヒーショップで園田芳美と会う女性の姿でした。園田とは因縁のある栗山は、コーヒーショップから出た二人を追います。廃墟化した一軒家に引っ込んだ二人を外で待っていると、そこに園田を追いかけてきた危ない二人組が叫びながら家へと乗り込んできました。
様子を窺っていると、玄関から女性が現れ、栗山は女性を助け話を聞きだします。女性の名前は市瀬真澄(いちのせ ますみ)、彼女こそがキュロスの女だと判明します。マネージャー見習いで撮影現場に行ったこと、急遽CMに出ることになったこと、ネットで自分の噂が飛び交い、怖くなり引っ越しをしたことなどを栗山に話します。
危機的状況を助けてくれたからって、よく分からない人に話し過ぎだよね?真澄ちゃんは純粋なんだろけど、危なっかしくて心配だよ…。
自宅に帰るのは怖いという真澄を、妹・志穂と住む自分の家に避難させた栗山は、真澄と志穂にネットの書き込みを調べるように指示します。プライベートを暴く数々のひどい書き込みに怯える真澄を見て、何かできないかと考えた栗山は矢口を利用することを思いつきます。
ネットやマスコミのデマで追い詰められたリナ。この出来事があるから、栗山は真澄をほおっておけなかったんだね。
でもでも!真澄は、あの園田と一緒だったよ!?どういうことーーーっ!!?
矢口に偽のスクープ写真を掴ませた栗山。第二章では写真に写ったキュロスの女の正体は書かれていませんが、終章で取材中に出会ったエンジェルダストのホステス・橘ミクと判明します。
第三章
- 一人称の視点(主人公):市瀬真澄(いちのせ ますみ)
- 章の要約:真澄視点のキュロスのCM出演から現在までの話。真澄の学生時代にも触れることで、真澄がどのような性格かが描かれている。
世間を一本のCMで騒がせることになった市瀬真澄は、有名人になりたいと思ったこともない、コンプレックスもある、どちらかというと自分に自信のない地味な女性です。
高校までは女子高で自分の見た目には無頓着だった真澄でしたが、専門学校での周囲の反応から“自分は美人の部類に入るようだ”と気づきます。しかし、目立つことが嫌いな真澄は、スマカンでも内勤限定の仕事に就きます。
人手不足で福永瑛莉のマネージャー業務を兼務していた中で、たまたま現場にいたブランドのデザイナー・桑嶋の目に留まり気が進まないながらもCMに出演することになってしまいます。真澄の身元は表に出さないとなったものの、CMが放送されるなり“キュロスの女は誰だ?”と話題になります。
ネットでは目撃談で溢れ、次第に本物の真澄の行動が暴かれていきます。周囲の目が怖くなった真澄は住み慣れた豊洲から自由が丘に引っ越しますが、引っ越してもすぐにネットに目撃情報が流されます。そんな中、スマカンの社長・斉木を通しこの状況を打開できるとコンタクトを取ってきた人物が園田芳美でした。
怪しすぎるーーーっ!園田って、絶対何か企んでるじゃん!?
ここからは、第二章の栗山目線と一緒です。園田にコーヒーショップに呼び出され、言われるがまま園田の自宅についていき、園田が席を立ったところに園田宅に乗り込んできた連中の横をすり抜け、栗山に助けられ、栗山宅にかくまわれます。
いや…。こうして見てると、真澄ちゃんは危なっかしいしかない!こんなコが芸能界に関わっちゃダメだよー。
真澄は園田の自宅を出る際、園田のUSBメモリーを持ち出します。その中に入っていたデータとは…?
うわー!危険なものを持ち出してしまったーーーっ!?これって、持ってて狙われるようなことがないか心配だよ…。
栗山宅で志穂と自分のネット情報を調べていた真澄は、園田のUSBメモリーの存在を思い出します。開いて見ると何が書かれているか一見しただけでは分かりませんでしたが、志穂がファイル形式の問題ではないかと気づきます。
ファイルを作成したアプリケーションを使わずに直接画面に表示する「自在くん」のパッケージ版を購入した志穂は、園田のUSBメモリーに入っている“園田の命の次に大切なもの”である情報を見ることに成功します。
ブラックジャーナリストのお仕事ファイル。興味あるけど、絶対にヤバいものしかなさそう!この中に、真澄ちゃんに関する情報があるのかな!?
第四章
- 一人称の視点(主人公):園田芳美(そのだ よしみ)
- 章の要約:園田側から見た、“キュロスの女”に関する一連の流れ。実は、ネットに流れているキュロスの女の最初の情報源は園田だったことが判明。
47歳の園田は若いころは舞台俳優を目指していた人物です。しかし、劇団代表や先輩役者から暴言を浴びせられ、自分を受け入れてくれない世間にも恨みを持っていました。仕返しや腹いせの気持ちから代表の妻の浮気写真を代表に送り付けたところ、奥さんは病院送りとなり、代表は傷害罪で逮捕され、劇団は解散となります。
多くの人の人生を狂わせる力を自分が持っている。黒い血が沸き立ち、麻薬的な快感を覚えた園田は、そこからブラックジャーナリストとしての道を歩みます。人により大切なもの、絶対に失いたくないものは大きく違う。それを嗅ぎ分け、土足で踏みにじってやりたいという黒い欲求がある園田は、情報を金に換えて生きてきました。
しかし、一本=百万ということからも推察できるように、園田はあくまで小物のブラックジャーナリストです。そんな園田のもとに、携帯に登録していない番号から電話がかかってきます。出ると相手は「キュロスの女のプライベートを暴いてほしい。どこそこで買い物をしていたという些細な情報でも一件10万で買い取る」と言うのです。
完全前払いの美味しい話。園田的に乗らない手はないね!相手の名前はアキヤマ。偽名だろうけど、誰なんだろう?目的も気になる…っ!
市瀬真澄をマークし、真澄のプライベートを謎の男・アキヤマに流す園田は次第に、ターゲットである真澄の様子がおかしくなっていくことに気づきます。怪しんだ園田がネットを検索してみると、園田が暴いた真澄の個人情報がネットの海に流されていました。
「これはひどい」と思った園田は、正体不明の依頼人との取引から手を引きます。「あんたのやり口は気に食わない。金を返すから顔をさらして取りにこい」という園田に対し、「もらった情報は有効活用させてもらう。あとはこっちでなんとでもできる」と返されます。
ここからは、第三章までの出来事の園田目線となります。園田はスマカンの社長・斉木に連絡を取り「キュロスの女の情報を流している相手を身動きが取れないようにしてやる」と持ち掛けます。
社長は超軽く「あ、ほんと?助かるわ。それ頼むよ」の一言で終了。社長ーーーっ!もっと真澄ちゃんに親身になってほしい…。
斉木を通し真澄にコンタクトを取ったものの、自宅に真澄を連れて来たまでは良かったが、運悪くヤクザまがいの連中が乗り込んできたため、園田はトイレから脱出します。着の身着のままで逃げた園田のもとに、矢口が電話をかけてきて「ネタを分けてくれ(第一章参照)」と言ってきます。
キュロスの女=市瀬真澄というのはもちろん知っていたけど、矢口がにはもったいないネタだと感じた園田は、適当に嘘をでっちあげ代わりに藤井涼介の小ネタを流します。
真澄の行方が気になった園田は、真澄を尾行している時に、自分と同じく真澄を尾行していた栗山に連絡を取ります。「キュロスの女が真澄だと知っているんだろう?真澄は無事なのか」と訊ねた園田に対し、園田に因縁がありながらも、真澄を取り巻く状況の打開策を探っていた栗山は園田と会うことを決めます。
第五章
- 一人称の視点(主人公):節によって違う
- 章の要約:”キュロスの女”を暴く犯人が判明する怒涛の展開!各節ごとに異なる視点から語られる進捗が、物語の終盤をより盛り上げている。
第四章までは章ごとに視点が決まっていましたが、第五章は節ごとに視点が変わっています。クライマックスに近づく第五章を解説します。
1:矢口慶太視点
「先輩後輩って、いいな」と、キュロスの女のスクープ写真を譲ってくれた栗山に対し能天気に恩義を感じている矢口の視点から始まります。
キュロスの女の記事を書き上げ栗山に送った矢口でしたが、栗山からの返信がなかなかありません。ようやく会えた栗山から「キュロスの女の居場所だけではなく、名前も素性も知っている。しばらく、うちで匿ってた」と打ち明けられます。
栗山からの急な告白に、話が読めない矢口!…矢口って、ちょっと…いや、かなり?おバカさんなのかもしれないです…。可愛いけどね…。
2:栗山孝治視点
園田と久しぶりに会った栗山は、「真澄のプライベートを調べていたのは自分だ」と園田から聞かされます。
見知らぬ相手からの依頼で真澄を調べていたこと、真澄の情報が悪用されるとは考えなかったという園田に対し、「フザケルなッ」と切れる栗山でしたが、依頼主の証拠があるという園田の言葉を信じ、手を組むことにします。
「自分の自宅に一緒に行ってほしい、そこに証拠がある」という園田でしたが、園田は襲ってきた連中を警戒していたため、栗山は一人で園田の自宅を確認することになります。園田の自宅を訪れた栗山は“何もなくなった、空っぽの部屋”を確認し、園田に証拠は何だったのかと確認します。
「証拠は音声ファイルで、依頼主との会話をメモリースティックに録音し保存してあった」と園田から聞いた栗山。証拠がなくなったことで意気消沈し家に帰ると、何と園田のUSBメモリーは栗山の自宅にあり志穂と真澄が開いていました。
しかし、肝心の真澄がUSBメモリーと一緒に消えています。どこに行ったのかと尋ねる栗山に、志穂は「真澄は仕事関係で誰かに呼ばれ出て行った」と返します。志穂に真澄が帰ってきたら連絡するよう言い残し自宅を出た栗山は、編集部で矢口を捕まえ「キュロスの女・市瀬真澄を捜し出したい。手伝ってくれ」と声をかけます。
急遽レンタカーを借りて真澄の自宅のある自由が丘に向かった栗山と矢口は、真澄のマンション前に見覚えのあるBMWが停まっているのを見つけます。BMWの運転席に乗っていたのは、何と!園田の家を襲った二人組の片割れでした。
3:市瀬真澄視点
志穂が買ってきた「自在くん」のおかげで園田のUSBメモリーのファイルが自由に見れるようになった真澄でしたが、肝心の自分に関するファイルがどれかが分かりません。
そんな時に、事務所の女優・福永瑛莉から電話がかかってきます。出てこいと呼び出された真澄は、指定されたホテルへ出向き瑛莉と会います。心配していたと言う瑛莉は、真澄に「状況は打開できそうか」とききますが、「まだ何も掴めていない」という真澄。
ここで瑛莉から「新しい情報は同じ奴が書き込んでるって、気づいてる?」と問われます。驚く真澄に「あちこちの人間が目撃情報をアップしてるように読めるけど、実は一人の人間が発信している可能性が高い」と、瑛莉が指摘します。
さらに、書き込みから犯人の特徴的な文末“カッコ笑い”の部分について、終わりのカッコだけ半角になっていると指摘する瑛莉。
細かい!「(笑い)。」ってことだよね?他の行と比べて半角ズレているのに気づく瑛莉!!探偵みたい…っ!
そして瑛莉は、「自分はこの特徴的な“カッコ笑い”を使う人から、何度か直接、メールをもらっている」と言います。
ここまでは、超絶わがままな芸能人で描かれていた瑛莉。呼び出したくせに真澄を超待たせるし、イラっときてたけど…急に神様に見えたーーーっ!
エゴサ(エゴサ-チ)めっちゃしてるのかも!?芸能人だけに、悪意あるアンチコメント多そうだし…真澄に同情してくれたのかな?
4:園田芳美視点
栗山と別れた園田は、突如家に押しかけて来た暴漢二人組に全てを奪われたと思い、仕方なくヤク中の知り合い・中畑の部屋に身を寄せます。そこで放送中のテレビから明後日発売の「週刊キンダイ」に掲載予定の記事ネタがキュロスの女であることを知ります。
栗山は真澄を守るつもりではなかったのか?と訝しむ園田は、ニュースを見て“週刊キンダイは藤井涼介を餌にした”ことに気づきます。熱愛発覚と堂々と書くのではなく、匂わせることで気になる人は週刊キンダイを買わざるを得なくなる…。テレビの中の涼介は一斉にマイクを向けられ、キュロスの女との関係について質問攻めに合っています。
執拗なマスコミの追求に「分かりませんッ」と声を荒げ怒りを露わにし、暴力的な態度を取った涼介の姿を見た園田は面白さにニヤけます。
5:矢口慶太視点
真澄を探す矢口と栗山は、真澄のマンション前で見覚えのあるBMWを見つけます。栗山は矢口に「自分が運転手と話をしてくるから、その一部始終を動画で撮影してくれ」と頼みます。栗山が運転手と話した様子を矢口が撮り問題のBMWが立ち去った後、栗山の携帯に妹の志穂から真澄が帰ってきたと連絡が入ります。
栗山の自宅に一緒に戻った矢口は、志穂と真澄と対面し栗山は現在までの情報を整理します。この話題が大きくなると、かえって交渉がしづらくなると言う栗山に従い、明後日の午後、発売予定の週刊キンダイの見本誌を持って五反田にあるプロダクションWingの社長室に乗り込むことにします。
プロダクションWingの社長・石上の前に、矢口、栗山、真澄が座り、末席には園田が座っています。そこで栗山は石上に向かい「キュロスの女・真澄に関するプライベートを調べ上げ匿名でさらしているのがWing所属の藤井涼介である」ことを突きつけます。
そこへ、呼び出された涼介が入ってきて「俺は知らないッ」と白を切りますが、園田のUSBメモリーに残っていたアキヤマの音声鑑定の結果が涼介のものであること、また真澄の自宅前に停まっていたBMWの運転手が涼介の中学時代の同級生・西崎秀矢であることを指摘され、社長に問いただされたことでついに観念します。
何で真澄ちゃんを怖がらせるようなことしたんだよ!?人気俳優なのに…と思っていたところ、衝撃の理由が!
えーーーっ!!?陰湿すぎるっ!まだ、真澄に面と向かって気に入らないって態度を取った、瑛莉の方が好感持てるよ…。
「お前はもう、終わりだ」と、涼介を切ろうとする石上に対し、栗山はそれを制し新たな提案を持ちかけます。涼介が真澄に対し行ったことを記事にすれば、涼介は俳優として終わり、それは一般視聴者や制作サイド、CMスポンサーといった多くの人に悪影響を与える事態となると指摘。そうではなく、キュロスの女を正式にデビューさせてみてはどうかと提案します。
涼介はもう二度と真澄に個人攻撃をしないこと、その他に対しても同様の行為をしないと約束させます。でもデビューって…??
真澄ちゃんは人前に出るのが嫌いだし、誰を?キュロスの女がデビューって、誰得になるの?何も解決しないんじゃ…??
終章
- 一人称の視点(主人公):栗山孝治(くりやま こうじ)
- 章の要約:第五章から半年後、キュロスの女を取り巻く環境が激変した様子を描く。キュロスの女としてデビューしたのは、ニューハーフの佐々木りん。
終章はとても短く10ページ足らずです。Wingからキュロスの女として正式にデビューしたのは、栗山がキュロスの女を捜索中に出会った新宿歌舞伎町のショーパブ「エンジェルダスト」のナンバーワンホステス・橘ミクでした。
実は彼女は、矢口にキュロスの女としてスクープ写真を撮らせた際のダミーでもあります。「すっごい面白かった、楽しかった」というミクに対し、キュロスの女としてデビューを持ちかけた栗山。変身願望が強いというミクは性別をカミングアウトした上で、キュロスのCMから間を置いてデビューしたのでした。
話題性バッチリだし、適材適所ってこのことだよね♪りんちゃんは女の子としてデビューできたし、万々歳だね。
真澄はスマカンを退社し、貴金属やブランド品の買取及び査定業務を行う会社に再就職し、芸能界やマスコミとは全く関わらない世界にいます。
園田は真澄によくメールを送ってくる様子。栗山の妹・志穂はキャンドルアートの世界へ。真澄と栗山はちょっと良い感じ♪恋愛に発展するのかな?という感じで終わります。
ドラマの副題:スクープという名の狂気とは?
この記事では、ドラマ「Qrosの女-スクープをいう名の狂気-」の原作小説のあらすじ、結末について解説しました。ドラマでは副題で「スクープをいう名の狂気」と付いています。原作者である、誉田哲也氏はドラマ化にあたり下記の通りコメントしています。
私はこの『Qrosの女』以外にも、マスコミや情報社会に関する小説を書いてきました。
それらの多くは「人間が心の奥底に持つ『知りたい』という欲求、その醜さといかにして向き合うべきか」というテーマを内包し、それに応える形でメッセージを発するものでした。でも正直、そういう物語は、キツい。人間の本性を晒すだけで、救いがない。だったら、と思って書いたのが、この『Qrosの女』です。
確かに「厳しい真実」を突き付ける物語は必要ですが、たまには真逆の「優しい嘘」の物語があっても、いいんじゃない? そんな気持ちで、この作品を書きました。魅力的なキャストが揃いました。原作同様、ドラマも楽しんでいただけたら幸いです。引用元:Qrosの女公式サイト
原作小説でもラストの真澄のセリフに、「誰かにとっての真実は、実は別の人にとっては嘘だったり、でも真実が必ずしも人を幸せにするわけじゃなくて、優しい嘘の方が、よっぽど多くの人を幸せにしたりもする」、「情報の価値ってなんだろう、真実の意味ってなんだろう、今までに当たり前に信じてたことも、実は嘘なのかも」というものがあります。
難しいね…。原作が書かれたのは2013年だから今から10年以上前…。現在はSNSだけでなくAIも発達し、ディープフェイク(偽動画)も多くなってきたよね。
何が本当で何が嘘か、より分かりにくくなってきた現代。改めて、情報とは何か?を考えさせられるドラマになりそうです。
果たしてドラマ版は原作小説と同様の展開になるのか、オリジナルストーリーになるのか、気になるところです。Qrosの女のエキストラ募集のページを見ていると、撮影シーンに落語会場、耳鼻科というものもあり、ドラマ版オリジナルの展開があるのでは?と予想されます。
ドラマではここら辺、ちょっと深掘りしてほしいなー。十和田の弱みが気になる!ドラマについては、放送開始後に視聴後にネタバレを含む感想を記事にしていきます。
ドラマの前に、小説が気になる方は事前にチェックしておきましょう。ドラマと原作の違いを楽しむのもおすすめです♪
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