この記事では、山崎豊子の名作小説『花のれん』のあらすじをネタバレを含み紹介します。吉本興業の創業者・吉本せいをモデルにしたと言われる本作は、女性興行師として活躍した主人公、多加の人生を情緒豊かに描いています。
さらに、物語の中で描かれる人間関係や葛藤も見どころのひとつです。2025年に「巨星・山崎豊子生誕100年」を記念し、北川景子主演でドラマ化される『花のれん』原作小説のあらすじと感想、主人公・多加と常連客・伊藤友衛の結末、モデルとなった吉本せいとの共通点、タイトル『花のれん』の意味について解説します。
小説『花のれん』は、1960年代と1995年にドラマ化されています。1966年版のドラマ「横堀川」は、U-NEXTで見放題配信されています。
【原作ネタバレ】伊藤友衛は自死する!切ない両片思いの結末
『花のれん』の物語には、多加の人生に深く関わる人物として「伊藤友衛(ともえ)」が登場します。彼は市議会議員で、本町に多くの借家や土地を持っていて何も商いをせず市会へだけ出ているという、生活に余裕のある人物です。
多加と伊藤との出会いは、多加が経営する寄席で店の者が伊藤の足元に粗相をしたのがきっかけです。部下の不始末を知るや否や、“足もとを揃える”と言いすぐに北の新地の履物やへ駆け込み、上物の下駄を買いそろえ対応します。
その後も伊藤は、「花菱亭」に度々訪れ、多加に強い印象を残します。しかし、伊藤との関係は決して恋愛には発展しませんでした。
多加と伊藤が最も近づいた夜!出雲での偶然の鉢合わせ
ある日、多加が寄席の新しい目玉を探すために出雲を訪れた際、偶然にも療養中の伊藤と再会します。その晩、伊藤は多加の入っていた湯殿に入ってきましたが、多加は湯槽から飛び出し、自室に戻ってしまいます。この出来事が、二人の関係が最も近づいた瞬間でした。
えええっ!お風呂に好きな人が裸で入ってきたーーーッ!!?男女の仲になる予感!その後、どうなったの!?
結局、二人はそれ以上の関係にはならなかったんだよね…。最後まで客と席主(経営者)のまま。これって、多加の過去が影響してるのかなぁ?
選挙違反で捕まった伊藤!悲しい最期
その後、伊藤は選挙違反により警察に連行され、自ら命を絶つという結末を迎えます。新聞社の記者が、彼の遺体を担架で運び出す瞬間を写真に収めましたが、多加はこの写真を3,000円という大金で買い取ります。当時、写真1枚が20銭の時代に、これほどの額を払ったのは伊藤の名誉を守るためでした。
多加さん、最後まで伊藤さんを大切に思ってたんだね…。なんだか胸が熱くなるなぁ。“一生にたった一度の贅沢”とガマ口(部下)を説き伏せていたよ。
二人が結ばれることはなくて、本当に切ない結末…。実際に伊藤さんが本当に選挙違反していたかどうかはわからないけど、どうも誰かに嵌められたみたいだよ。
最後まで男女の関係にはならなかった!二人の関係が物語るもの
多加は生涯にわたって自立した女性としての道を歩み続けましたが、伊藤への思いを心に秘めたまま、関係が深まることはありませんでした。また、伊藤には妻がいたことも、この関係に影響を与えていたのかもしれません。
多加が一度愛した夫・吉三郎が妾の家で亡くなった過去も、二人が距離を縮められなかった理由のひとつとも考えられます。人を愛することと、自分の生き方を貫くことは、両立するのが難しいのかもしれません。
多加さんは以前旦那さんを妾と同衾中に亡くしているよ。多加さんみたいに強く生きられる女性って憧れるけど、こういう孤独な面もあるんだね。
伊藤さんは多加さんに「大阪の商人」と幾度となく言っていて、それを自分に言い聞かせている感じもあったよね。
河島多加のモデルは吉本せい!夫に商売をすすめた点が実話と同じ
『花のれん』の主人公・河島多加のモデルとなったのは、吉本興業(現・吉本興業ホールディングス)の創業者の一人である吉本せいです。吉本せいは、実在した人物であり、寄席文化を日本中に広めた女性興行師として知られています。しかし、注意したいのは、小説『花のれん』は実話ではなくフィクションであるということです。
小説は実話ではなくフィクション!実在の「吉本せい」はどんな人物?
吉本せいは、夫・吉本吉兵衛(通称・泰三)とともに吉本興業を立ち上げ、大阪を中心に笑いの文化を根付かせました。吉本せいが女性でありながら興行師として活躍したことは、当時の社会では非常に珍しいことでした。その商才や人柄は、多くの人々に影響を与えています。
今の吉本興業の基盤を作った人なんだね!吉兵衛に寄席の経営をすすめたのが、妻のせいというところが、多加さんと一緒だね。参考:flier
うん、でも、あくまで『花のれん』の多加は吉本せいさんをモデルにしたフィクションだから、事実とは違って山崎豊子さんの創造した物語なんだよね。
『花のれん』は、日本のエンターテインメント界の礎を築いた女の一代記
山崎豊子さんの『花のれん』は、吉本せいの生涯をヒントにしつつ、独自の脚色が加えられています。例えば、作中の河島多加の夫・吉三郎は、寄席道楽に明け暮れる怠け者として描かれていますが、これはフィクションの要素です。また、吉三郎が妾宅で亡くなるというエピソードも、小説の中だけの出来事です。
小説『花のれん』はフィクションだからこそ、物語としての深みや感動を味わえる作品に仕上がっています。特に、主人公・多加の人生を彩る数々のエピソードや人間ドラマは、現実の吉本せいとは異なる部分がありつつも、読む人の心を打つ魅力に満ちています。
吉本せいさんの生涯を参考にしつつも、山崎豊子さんが物語として魅力的に仕上げたんだね!ボクは商人同士の取引のやり取りが活き活きしてて面白かったよ◎
フィクションだけど、山崎豊子さん自身が大阪船場の商家の生まれらしいから、商業語としての大阪弁が生きているんだよね。
タイトル「花のれん」の意味とは?多加のセリフに込められた願い
小説『花のれん』のタイトルに込められた意味は、主人公・河島多加の情熱と夢を象徴しています。物語の中で多加は、「わての燃やした花火を、もっとどんどん打ち揚げたい、大阪の街中へわての花のれんを、打揚げ花火みたいに幾つも、幾つも仕掛けたいのや」と語ります。
花のれん=花暖簾!意味するもの
「花のれん」は、多加が寄席の商売を成功させ、大阪中に笑いやエンターテインメントを広げていきたいという強い願いを表しています。寄席という文化を「れん」(のれん=ブランドや信頼)として育て、それを一つの「花火」として輝かせたいという多加の気持ちが、この言葉に凝縮されているのです。
鮮やかな色を織り交ぜて作るのが、花暖簾(はな・のれん)!大阪中に多加の作った寄席が広がって、街がにぎやかになるイメージだね。
それはまるで、色鮮やかな花火のよう!花火みたいに明るく、人々を楽しませるものを作りたいってことだね◎
「花のれん」が象徴する多加の生き様
多加にとって「花のれん」とは、自分の努力や成功が形となり、大阪の街に笑いと活気を届ける象徴です。そのため、彼女はどんな逆境にも負けずに寄席の商売を拡大し続けます。この言葉には、商売を超えた多加の人生そのものが込められているとも言えるでしょう。
多加の強い信念や情熱を感じる言葉だね!そう考えて小説を読むと、本文は世界大戦なんかがあって暗い場面でも、勇気が出てくるよ。
タイトルに込められた意味を知ると、小説全体のテーマがもっと深く感じられるね。多加の生き様をしっかり見届けよう。
小説『花のれん』は、1960年代と1995年にドラマ化されています。1966年版のドラマ「横堀川」は、U-NEXTで見放題配信されています。
小説『花のれん』ネタバレ感想:まとめ
『花のれん』では、多加が興行師としての成功を収めながらも、ひとりの女性としての幸せに悩み続けた姿が描かれています。伊藤友衛との関係は、多加の人生の中で特別な存在として刻まれましたが、二人が結ばれることはなく、切ない結末を迎えます。
市政に生き洗練された趣味を持つ伊藤に惹かれた多加。伊藤は多加の亡き夫とは違った意味で、商売に生きる多加とは正反対の人物でした。対極にいた二人は、互いのないものを相手に求めていたのかもしれません。
一方で、時代を切り拓いた彼女の生き様には、多くの人が勇気づけられることでしょう。『花のれん』は、吉本せいの実際の生涯とは異なりますが、それが物語の魅力を高めています。小説を読んで興味を持った方は、実在の吉本せいについて知ることで、本作の背景やドラマ性をより深く理解できます。
吉本興業の芸人さんを見ない日はないよね。それを作った人が女性だったとこの小説で初めて知ったよ!ドラマ化も楽しみだな~♪
日本のエンタメ業界を作ったと言っても過言ではない、吉本せいさんがモデル!歴史の裏にある今に通じる人間ドラマを楽しみましょう。
ドラマ公式サイト:花のれん
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